日本泡吹き物語 「君も吹こう♪ 泡を吹こう♪」

実は『泡を吹くカニ』を作った時の、
泡吹きシステムに込めた思いには、
申し訳程度に、ただならぬ物があります。
(と、言うのはかなりオオゲサですが…笑
ま、バカですな…(^-^;;)


最初の説明でも書きましたが、
私は小さい頃から怪獣が大好きで、ちりがみ細工を始めたのも、
元々は怪獣のお人形を、あまり買ってもらえなかったので、
自分でちり紙で、作り始めたのがきっかけです。

だから昆虫や恐竜、兵器、お店屋さんごっこなどの、
ジオラマ系などは、多少好きで作りましたが、
当時はまだお人形さんとか、お菓子やお花、
食べ物系みたいな女の子向けは、作った事ありませんでした。

最初は作る物と言えば、大半がウルトラ怪獣、
オリジナル怪獣、ばかりだったんですねー。

私にとってはウルトラ怪獣は、憧れでもあれば、
色々な意味で、お手本でもあったわけです。
(これはお姉さんや、ちびっ子には、わからないかも知れませんが、
でかっ子のお兄さんなら、わかっていただけると思います。)

でもそんな大好きなウルトラ怪獣の中で、
どうしても不満な部分がありました。

それが何をかいわんや、ウルトラ怪獣の、
「泡吹き」だったんです。

さ、こっから少し(だいぶ?)、マニアなお話になります。
今回は普通のお母様は、すっ飛ばしてくださって大丈夫ですf(^▽^;;
このサイトでも屈指の、ためにはならないお話しです。


このカットだけで何のお話かわかった方は、
「うわっ、恥ずかしい。この人マニアだわ♪」
とか言われて、心ならずも恥ずかしい思いをする事になります。
わかっても、気がつかないふりをしましょう。

でも「ええっと、このウルトラマンは何代目かな。
詳しく無いから、全然わからないや。ウワッハハハハ。」

などと言うと、蛇足で馬脚を現す事になり、
やはり心ならずも、恥ずかしい思いをする事になります。
良く良く注意しましょう。

まず最初に思ったのが、ウルトラマンアボラスです。
何でも溶かす泡を吹く、青色発泡怪獣と言う割りには、
実際には泡を吹いていないんです!

白い煙をぷーっと吹きかけると、煙が引いた後に、
目標物が泡で埋まっていると言う表現でした。

私はとてもショックを受けました。
「どうしてもっとちゃんと、泡を吹いてくれないんだ!」
幼心に、とても悲しい思いをしたのです。

赤毛のアン風に言えば、
「いたいけな少年の、淡い期待は、
絶望の暗いどん底に、突き落とされた。」

とでも言うところでしょうか。

右の怪獣がアボラスです。


「やがてアボラスの口からまっ白なあわがとびだした。
プシュッ、プシュッ!! シュッ!!シュッ!!
見よ! 赤怪獣バニラの身体が、どろどろにとけだしてゆく。」


図鑑でも、泡を吹いた事になっているのがわかります。


こちらはTVの泡吹きシーンを載せた、
別の本のアボラスの写真です。

「アボラスは溶解液を吐きながら、…」となっていますが、
やはり写真をよく見ると、泡や液体ではなく、
煙状の物を吹いている事がわかります。

泡らしい泡のあった怪獣と言えば、
次はウルトラセブン
ダンカンでしょう。

ダンカンはぬいぐるみの出来も、とても綺麗で、
空間を広く使った殺陣、独特の鳴き声と、
お話しとあわせて、魅力が一杯のモンスターでした。

ちなみにダンカンは、怪獣ではありません。
ウルトラセブンですから、宇宙人で、
本によってはダンカン自体が「流動体」「液体宇宙人」
などと、説明されている物もあります。

で、結構泡らしい泡が出てくるんですが、
上記のような設定のため、劇中でも、
泡が湧き出して、その中から現れ、
また全身を液化させて、泡となって消える…見たいな感じで、
口から泡を吹いてくれるわけでは、ありませんでした。
設定がそうだから仕方ないのですが、少しさみしかったです。

ダンカンです。
ちょっと不鮮明でわかりにくいですが、
手前に泡が広がり、背中に泡がついています。
泡の中から現れて、立ち上がったところです。


次の帰って来たウルトラマンになると、
そのものズバリ、ザニカと言う怪獣が出ます。

蟹座から来た、カニの怪獣と言う、
人を小馬鹿にしているとしか思えない、
名前と設定がとても好きでした。
鳴き声もなんか弱々しくって、
まさにカニって感じで、良く出来ていました。

これもカニの怪獣と言う設定上か、
一応、泡は吹いてくれるんですが、
かたまりをビュッと、吹き付けるみたいな感じで、
どうも今ひとつ、誤魔化されている感が
拭えませんでした。

あくまで点射であって、フルオートでは吹いてくれません。
泡をかけられたウルトラマンも、嫌そうな顔をしている程度で、
取り立ててダメージを、受けているとも思ません。

充分フィニッシュホールドに使える、アボラスの泡に比べると、
明らかに威力は、ありませんでした。

ザニカは存在自体が、弱々しい人なので、
致し方ないとは言え、「泡の威力が弱い」と言うのは、
やはり悲しかったです。

図鑑ではザニカに気を使って
「ウルトラマンがようじん深く すきをうかがっている。」
とかフォローにならない、フォローをしてくれていますが、
御覧の通り、これは誰がどう見ても、単なる、
「チョップが問題なく、クリーンヒット」のシーンです。

そもそも背中に甲羅のあるカニが、直立して向かって行く時点で、
てつのたてを装備せずに背中にしょって、
旅人の服で向かって行く、戦士みたいな物で、
あまりほめられたお話しでは、無いと思います。

泡を吹かせる事は、そんなに難しい事なんだろうか?

でも等身大の怪人、例えばクモライオンとかが、
あからさまなビニールテープを出して、
ライダーが自ら巻きついていた事を考えると、
糸を吐かせる事は、もっと難しいように思うのですが、
モスラと言いクモンガと言い、怪獣は実に上手に糸を吐きます。

ウルトラ怪獣だって、糸ならゴキネズラが上手に吐きます。

特にゴキネズラの回は、
初登場の根上淳さんのカッコ良さともあわせて、ゴキネズラの、
「糸を吐く」
「一見、ミサイルが効かないけど、それは飛んで来たミサイルを、
反射的に、口などにくわえる習性があるから。」

と言う特性・設定を上手に活かした、素晴らしい名作でした♪


ゴキネズラの糸です。子供心にも
「外側から、引っ張り出している」ように見えた、
等身大の怪人の吐く糸と違って、怪獣の吐く糸はちゃんと、
「怪獣から、吐きかけられている。」と言うのがわかりました。



映像的にもお話し的にも、「糸吐き」だったら、
ウルトラ怪獣も、ばっちりお手の物です♪

一方で赤影の、カニの怪忍獣ザバミなんかが、
結構盛大に、泡を吹いていたのを考えたら、
やっぱり解せなくなりました。

赤影のザバミです。仮面ライダーブラックの怪人みたいに、
「実在の生き物そのもの」みたいな“らしさ”、
ぬいぐるみの出来の良さとは、ちょっと違うのですが、
怪忍獣のデザインとぬいぐるみは、これはこれで、すごくらしくて
赤影の世界観ともあっていて、好きでした。

ザバミも、カニそのものでは無いけれど、
カニをモチーフにして、周囲に溶け込んだ、
「何か本当にいる、カニっぽい生き物らしさ」
みたいなのが、ありました。

ザバミもカニの怪獣ですから、泡を吹きます。
「溶かす泡」ではないのですが、
火を噴く怪忍獣のガガラの炎を、
消し止めて埋め尽くすほど、盛大に吹いてくれます。

赤影には他にも、両手から蟻酸を出す、
ガバリと言う怪忍獣などがいますが、これも映像的には泡です。
赤影は全般的に、泡吹きは上手だったんです。

「ウルトラ怪獣は、ほかは凄いけれど、
こと泡吹きにかけては、きっと苦手に違いない!」

と、子供心に思ってしまったのも、無理からぬ事だと、
おわかりいただけると思います。

このウルトラマン、ウルトラセブン、
帰って来たウルトラマン
の、全盛期三シリーズを通して、
結局、納得のいく泡吹きを見れなかった私は、
「なんとしても自分のちり紙怪獣達に、泡を吹かせたい!」と、
乾坤一擲、不退転の決意で、心に誓ったのでした。

(※ここはとても感動するところです。
帰りマンのわんだばをかけながら、読んでください。)

でもプロの大人がやっても、中々上手くいかないらしい物を、
素人の子供が出来るのだろうか…と思いながらも、
そこは、笑っている場合しかないような私です。
何度かの試行錯誤の後、

「おおっ!? 
台所洗剤の空容器に、石鹸水を入れて、
振って泡立てて押せば、泡が吹ける♪」


と言う事に、あっさり気がつくと、
あとはそれを、ちりがみ細工に組み込めば、
「泡らしい泡を吹く怪獣」が、
自分的には割りと問題なく、作れるようになりました♪

個人的にはこれは、フェルマーの最終定理が、
解けるかどうかってくらいの、大事件でした。
(※ここも感動するところです。
ここではエイティのわんだばを、お願いします。)



ここまでのお話しで、たぶんNHKが取材に来て下さったら、
楽勝で「プロジェクトX」「その時歴史が動いた」が、
一話分くらいは、出来ると思います。

アボラスやザニカの映像を見ながら、
松平さんと語る場面が、目に浮かぶようです。

「この時、泡吹き完成まで後30日…」
「それでは…今夜は泡を吹く映像を見ながら、お別れしましょう。」

ああ、でも、視聴率は悪そうだなあ…)

そして今に至り、カニさんも思い切り、
泡を吹けるようになった♪と言うわけです♪

めでたしめでたし♪
じゃんじゃんっ♪

人々
 「… … …」



人々
 「そんなに…」


人々
 「そんなには、感動しなかったね…」
人々
 「……うん……」

カニさん
 
「お前らっ!!!」 ぶぶぶぶぶー

人々
 「うわぁ!」
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